名前の由来を子どもに伝える|思い出せないときの手がかり

名前の由来を聞かれて、うまく言葉にできないことがあります。理由が無かったわけではなく、決めたときのことが 1 つの文章になっていないだけです。7 つの問いに順に答えると、そのまま伝えられる形になります。

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はじめに: 由来が無いのではありません

名前の由来を聞かれて答えに詰まるのは、由来が無いからではありません。決めたときのことが、一続きの文章になっていないだけです。名前は短い時間のうちに、いくつもの理由が重なって決まります。あとから思い出そうとすると、そのうちの 1 つしか出てこない。

この記事では 7 つの問いを順に置きます。全部に答える必要はありません。答えられるものだけ拾って並べれば、そのまま伝えられる形になります。

なお、名前を決めるときに画数を見た家庭もありますが、この記事では吉凶の話には立ち入りません。流派によって数え方も判断も違い、どれが正しいと言える性質のものではないためです。「画数を見て決めた」という事実そのものは、由来として話して構いません。

7 つの問い

上から順に答えてください。思い出せないものは飛ばして構いません。もう一人の親や祖父母に聞くと出てくることもあります。

  1. 1誰が候補を出しましたか

    父親か、母親か、二人でか。祖父母や上のきょうだいが出した案かもしれません。決めた人と、案を出した人が違うこともあります。ここが分かるだけで、話の主語が決まります。

  2. 2いつ決まりましたか

    生まれる前に決めていたのか、顔を見てから決めたのか。この 2 つは話の印象がまったく違います。生まれてから何日か迷った、届け出の期限が近づいて決めた、というのも立派な答えです。

  3. 3音から決めましたか、字から決めましたか

    呼んだときの響きが先だったのか、使いたい漢字が先だったのか。多くの家庭はどちらかに寄っています。思い出せないときは、いま口に出してみて「呼びやすいな」と思うかどうかで見当がつきます。

  4. 4その音や字に、何を重ねましたか

    季節、風景、性格、好きだったもの、そのとき祈っていたこと。ここが「願い」にあたる部分ですが、はっきりした言葉になっていなくても構いません。「明るい感じがしたから」で十分です。

  5. 5最後まで残って、選ばなかった名前はありますか

    これがいちばん強く効きます。もう一つの候補があった話は、子どもが必ず食いつくところです。なぜそちらにしなかったのかまで思い出せると、選んだ理由が裏側から見えてきます。

  6. 6誰かや、どこかから取っていますか

    家族の名前から一字、住んでいた土地、生まれた季節、その年にあった出来事。本人と関係のないところから来ている場合も、その事情がそのまま由来になります。

  7. 7決めるときに外した条件はありますか

    読み間違えられにくいこと、書ける画数であること、姓と並べたときの見え方、あだ名にしたときの響き。消していった条件は、残った名前の輪郭をつくっています。

答えをつなぐと、そのまま話せます

並べ方は 3 通りあります。どれで話しても内容は同じですが、聞いた人の受け取り方が変わります。

決め手から話す

いちばん強い理由(問い 4 か 6 の答え)を最初に置き、そのあとに経緯を足す形です。短く済むので、聞かれてその場で答えるときに向きます。「生まれた日に雪が降っていたから、この字にしたんだよ」のように、一文で終わっても構いません。

迷った話から始める

問い 5(選ばなかった名前)を先に出す形です。子どもがいちばん面白がるのはこの型です。別の名前になっていたかもしれない、という話は、自分の名前が選ばれたものだという実感につながります。時間があるときの話し方です。

決めた場面をそのまま話す

問い 1・2 の答えを場面として話す形です。どこで、誰と、何を見ながら決めたか。理由がはっきりしない家庭ほど、この型のほうが話しやすくなります。意味づけが薄くても、場面には具体があるからです。

はっきりした理由が無いとき

聞かれて困る理由の多くは「大した理由が無かった」ことへの後ろめたさです。ここははっきり書いておきます。理由が言葉になっていないことと、適当に決めたことは別です。

  • 響きが好きだった。何度も口に出して、いちばんしっくりきたものを選んでいます。呼ぶ人のことを考えて選んだということです
  • 消去法で残った。読み違えられそう、書きにくい、同じ名前の子が近くにいる。消していった条件はすべて、その子が困らないようにという判断です
  • 顔を見て決めた。用意していた候補が合わない気がして変えた、というのは実際によくあります。これ以上ないほど本人に向き合って決めた話です
  • 誰かに決めてもらった。祖父母や、名づけを頼んだ人が決めた場合。誰に頼んだのか、なぜその人だったのかが由来になります

どうしても出てこなければ、「たくさん迷って決めた」だけでも伝わります。迷ったという事実は、どうでもよくなかったことの証拠だからです。無理に理屈を作るより、そのほうが本人にはまっすぐ届きます。

いつ、どう伝えるか

伝える時期に決まりはありませんが、受け取り方は年齢で変わります。

  • 自分の名前を書けるようになった頃。字と自分が結びついた時期なので、漢字の意味の話が入りやすい。「この字は、こういう意味なんだよ」だけで十分です
  • 学校で聞かれたとき。低学年で、自分の生い立ちを家の人に聞いてくる課題が出ることがあります。急に聞かれて焦る場面ですが、この記事の問いに答えておけばそのまま使えます
  • 下の子が生まれたとき。きょうだいの名前を決める場面は、上の子の由来を話す自然なきっかけになります
  • 名前を気に入っていないと言われたとき。反論として由来を持ち出すと、うまくいきません。まず不満のほうを聞いてから、別の日に話すほうが届きます

きょうだいがいる場合

一人にだけ話すと、もう一人が「自分のときは?」となります。全員分を用意してから話すほうが安全です。二人目以降は上の子の名前との並びで決めていることが多く、その事情自体が下の子の由来になります。

残しておく

いま思い出せたことは、また忘れます。答えが出たその日のうちに、どこかに書いておいてください。形式は問いません。

  • 命名書。お七夜のときに用意する家庭がありますが、あとから書いても構いません。名前だけを大きく書いたものに、由来を小さく添えておくと記録になります
  • 母子健康手帳の余白。自由に書ける欄があります。手帳は捨てずに残す家庭が多いので、行き先としては確実です
  • 本人宛の手紙。いま読めなくても構いません。読めるようになってから渡す前提で書いておくと、渡す時期を選べます
  • 写真の裏や台紙。生まれたときの写真と一緒にしておくと、探すときに迷いません

物語として残すという方法

由来は説明として伝えるより、物語の中に置いたほうが本人の中に残ることがあります。名前が出てくる場面がある、というだけで受け取り方が変わるからです。

わたしたちが作っているのは、お子さんの写真と名前からその子が主人公の物語を書き起こすオーダーメイドの絵本です。名前は物語の中で呼ばれる言葉として出てきます。由来そのものを一冊にするサービスではありませんが、上の問いに答えて出てきた場面(生まれた日の天気、迷った夜、誰が決めたか)は、物語の手がかりとしてそのまま使えます。

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